計算機科学を学べる大学を選んでくれた父.就職でつぶしが利くと勧めてくれた.幸い任天堂で育ち天体番号データベースをせっせと作った小学生は,グラフィックデザインを仕事にしたいと心に秘め,大学で大きく学べた.今ウェブデザインで食べているのも父の卓見のおかげである.
とはいえ,大学では何度も単位を落第し,4年間で卒業できなかった劣等生である.特にプログラミング演習はクラスで唯一2度落第.学年で唯一4年連続で受講して結局単位を取れなかった.不真面目だったのではなく,きちんと授業は皆勤で,数学の単位は優だったが,どうしてもプログラミングができなかった.新卒での就職活動があまりうまくいかなかったのは,この劣等のせいなのだから仕方ない.
新卒で入った会社を退職し,3年間Officeやウェブデザインを独学した.ほぼ無給だった.体調は徐々に回復していた時期で,頭に入るようになったし,知識を使ってものを作れることを覚えた時期でもある.容易い資格から挑戦し,一定の技能を付けたところで,障がい者雇用で時給制の職を見つけた.そこで大きく変わった.
開発能力を高め,ウェブなら大抵のものは作れるようになった現在.10年前の劣等生は一人前のウェブエンジニアになれたようだ.この先転職を余儀なくされても,ウェブ開発の技術があります,と胸を張れるほどだ.覚えた技術は忘れないものだという.この先も長い職業人生をひとりの職人として楽しく進んでいきたいところ.
