私の暮らしている街は,若年層に人気の都市で,数年来人口が増え続けている.地元の駅前には新築マンションの開発が続々と進んでいて,近隣には多くの店舗が出店している.この市は人口の割に未開発の土地が広く,線路の延線や高架化で新たな街が計画されている.最も大きな駅は,ガウディ建築のように完成しない駅として有名になった.この街は今,活気がある.
どうしてこの街が若者に人気があるのか考えてみた.程よく田舎で,手頃な住宅地で,日本で一番の東京が近い.この3要素が大きいのではと思う.東京のように稠密ではなく,田園の広がる片田舎らしさもない.近所に立ち寄れば大抵のものは簡単に手に入るし,交通もバスや私鉄や地下鉄が縦横無尽であるから車を持たなくても暮らせてしまい,貯蓄しやすい街でもある.
そして,東京が近いことだ.東京に住んでしまうと,東京以上の都市はこの国にないので,東京中を旅するか,地方に目を配るか,という視点を得がちで,優勢な目線で地理を見てしまう.一流企業や官公庁,IT業界の人ほどそうだろう.ところが,私のこの街は,東京へ行くには1時間くらいはかかるから,東京ではない.地方である.東京へ出たい.でもここは東京から見れば田舎だ.
目標があると人は頑張る.東京を視野に入れて仕事に励む若者にとって,いかにも希望を持ちやすい地理だと思うのだ.週末に簡単に東京に行ける.きょうも帰路に新築住宅の工事を見た.マンションが増えても人口は減らない.公的な施設も充実し,市民参加しやすい.物価も高くなく,車も必須ではないため,貯蓄もしやすい.この街は希望を持っている.私はこの街が好きだ.
