Webデザインというと,H/C/Jで書くので,DOMを適宜配置してサイトとすることが多い.デザインした要素を並べてWebサイトを作りがちである.しかし,何かこう絵画における筆触のような,ディティールが凝っているデザインで初めてWebデザインとしたい気がしてくる.
もちろん文字をポイント単位で合わせたり,ボックスを金属比で構成することもデザインである.デザインのルールを守れば適宜適切なWebデザインができる.けれども,水彩や印象派音楽に馴染み深いためか,Webデザインにおいても細部を詰めて考えようとする傾向が出てきた.
絵画や印象派音楽のほうが歴史的にみても細部を豊饒に表現し得た最後の芸術かもしれず,PC時代のアートはたいてい細部まで作りこまないで,計算して細部を構成する.また,デザインツールがオブジェクト指向でできている影響で,オブジェクト単位の要素を構成するしかない制約もある.
Webデザインにおける豊饒とは何か.Web言語は要素を配置するにすぎない言語で,要素をこそ凝って作れば豊饒なのか.するとWeb言語にはまだ可能性がある.配置の幾何学,流体的表現,可視データの造形.パラメータで容易に設定できればWebブラウザがアートシーンになれる.
どのようなWebサイトを作る職人になりたいかという問いでもある.要素をピクセル単位で配置するだけでは満足できないとはなかなか贅沢なことをいう若造である.絵画のようにWebページを構成する術を身につけつつあるいま,Web言語の限界を考えるようになったのだ.
