この師走の末にとっておきの趣味が読書である.読んでおきたい本をリストアップした.今年は余っていた有給休暇を連続して取得し,クリスマス休暇として利用するほか,年末年始休暇も6日間あり,今月の出勤日数もいよいよ片手で数えるほどとなった.最近はスタバでかかっているというジャズをBGMに書斎で仕事し,適宜休憩を取り入れて無理のない形で業務に当たっている.
1.マタイ受難曲 / 礒山雅著
この本は私の敬愛する合唱団の博士から借り受けたもの.年末年始の休暇を利用し読破すると約束している.彼はこのバッハのマタイ受難曲を誰より深く愛している.それほど人生を眺めても楽しみ続けられる深い作品であるということだろう.そんな壮大な曲である.私がこの1週間でどれほど理解できるか自信も自負もないが関心はある.
2.人生の短さについて / セネカ著
すでに読んだがもう一度読みたい.若者にアドバイスする形式で書かれた短い随筆のような作品.人生は忙しなく過ごすのではなく長く味わうように過ごすべきで,そうするにはどうしたら良いかが述べられている.時間の使い方論である.実用的な服の買い方を知りなさいとか,今でも実用的なアドバイスが挟まっていてとても面白く読んでいる.
3.詩学 / アリストテレス著
悲劇と喜劇の特徴とは.合唱やお笑いや賛美が身近にある今の暮らしで,身近にあるにもかかわらず考えたこともない問いである.様々な芸術に触れているはずなのに,普遍的な作品を多く見聞きしてきたはずなのに,基本となる鑑賞知識がない.そこで,人知の源流アリストテレスの考えに触れたい.本著は今でも参照される文献だそうだ.
4.幸福について / ショーペンハウアー著
幸福論はいろいろ読んできた.ラッセル,アラン,ヒルティ.ところが,この本は一線を画している.同著者の「読書について」にあるようなエッジの効いた斬り込む文体で語られる幸福とはどんなものだろうかと興味がわいた.今読んでも現代らしい印象を受ける著者の批評眼は,時代の淘汰によっても生き残る普遍性があるのだろう.
5.若者はみな悲しい / フィッツジェラルド著
小説で読みたいのはこの作家.「グレート・ギャッツビー」のあのジャズのようにかっこよく流れる文体に惹かれた.1世紀前のアメリカってこんな雰囲気だったのかと.本作は短編が3作詰まった文庫で,文体はそのままに3者3様の物語が展開する.この作家の持ち味はやはりこの文体にあると思う.年末年始の上昇気分のうちに楽しみたい.
