この街が好きだ.高校生の時ひとりで小旅行に行った際に,いずれこの街に住みたいと願った.その街に今暮らしている.好きな人と一緒にだ.電車やバス網でアクセスが良く,買いやすい商店が近所にあり,小1時間ほど歩けば全国的にも有名な光景が眼にできる.産業も活発で暮らす人々も優れた人が多く裕福であるだろう.暮らしやすい上に毎日のように満足する都市計画.できるだけ長くこの街に住み続けたいと願う.
ゴールドベルク変奏曲を聴きながら,人生について考えていた.何を楽しみとして生きていくか.もしこの人生にこれから楽しみではなくそれ以上の苦しみが待っているとしたら,生きる甲斐もないだろう.今が絶頂ということだから.でも,将来が楽しみと喜びに満たされる可能性の方が高い.信仰がその理由だ.もし生活から楽しみが消え去っても,私には信仰がある.だから希望と愛を覚えて暮らせる.そう信じている.
本当は,この世の楽しみなんて追求しなくたっていいのだ.召天後に持っていけるものではないから.だから,プログラミングも読書もファッションも,本当は追求しなくて良いし,好きであり続けなくたって良い.それで充分なら,それまでであって良い.今の私に本当に必要なことは,好きなことを大量に追求するのではなく,節度をもって追求を抑えること,控えめに楽しむこと,そういう類のことだと思う.
なんでもやりすぎてしまう猪突猛進型の人間が私である.一直線に突っ切るので人より早く到達し,同じ時間でより奥まで進める.でも,周りが見えないので社会で成功するとは限らない.それだから,私はもっと周りを見る人間でありたいと思う.そのためには追求を程々にするということだ.早く達しようとしないことだ.時間は実はかなり長くある.そう思って進んだ方が深い喜びに達しやすい.これもまた一直線的な考え方だが.
