私たち夫婦は,子供を持たない.結婚前から決めていた.理由はいくつもある.まず私が自閉症者なので,身体接触を痛覚として感じる.なので,私たちは性交渉を全く行っていない.次に,仮に子供に恵まれるか里親になったとして,子供を立派に育てる自信がない.立派に育たなくても良いとの意見もあるが,同じ障がいを持って生まれてきても将来の責任を持てない.そして,もうひとつの理由が,この国の社会構造である.
街で子育てする母親や父親を見ていて思うのは,皆の表情が幸せそうではないことだ.疲れているのではないか,諍いに塗れているのではないか,趣味の時間を一切持てないでいるのではないか.軽く想像するだけでこれだけの状況を連想する.人生の喜びが自分の成長にあるとすれば,親になるという選択は不幸を招くだけだと思う.子供を通して成長する道もあるかもしれないが,将来まで考え含めると,これは重い選択だ.
私たち夫婦は共働きである.年収は世帯で1,000万円を超えている.お金が自由に使えることも,この資本主義社会で選択を多く持てることを意味するので幸福につながる.そろそろ妻は子供を産める年齢の限界に達する.子供を持つという選択をとる理由があるとすれば,妻のご両親の要望だけしかない.他に子供を持つ理由がないので,今でも子供を持つなんて話しもしない.この貴重な時間を子育てより趣味に使いたい.
子供を育てている世帯に政府が補助金を出しているが,もっと推進すればいいと思う.今のご時世に子育てをするだけで大変すぎるので,私たちからすれば尊敬の対象である.凄すぎる.私たち趣味に生きる人間からもっと子育て世帯に経済援助できたらと思うほどだ.私たちは子供を持たない.それで二人暮らしている.この小さな家族が今後数十年もの間,社会に貢献する手段を見つけ,少なくとも役立てるようでありたい.
