私は年間200万円あれば幸せだ.高校生の時,ある本を読んで計算して出した数字だ.実際今暮らしていてそう外れてはいない.年250万円もあれば充分だ.今の年収300万円という金額は,世間では多い方ではない.高校生の私もわかっていた.しかし,それ以上に稼ぐ動機がどうにも見当たらなかったので,高校生の時の選択を今でも守って暮らしている.私は年収300万円に満足して生きているのだ.
生活に必要な額は年間200万円くらい.それ以上買うものがあるとすれば,自分の身体を損なうものが多い.またはお金が芋蔓式に必要になってくるものだ.車や酒や煙草や新聞など,買うと習慣になったり依存してしまったりもっと欲しいものが増えてしまいかねない.そうした物を買うためにより多く働いてより重い責任を負ってより物を増やしても,果たして幸せな生き方なのだろうかと立ち止まるのが私である.
今書斎にある物以外は,別にもういらない.これ以上楽しいことを知っても,それを楽しむだけ必要な人生の時間が足りない.だからこれ以上増やしたくない.生活様式が確立したのである.楽しいことがたくさんある今の暮らしに必要だったのは,多感な時期にさまざまなものに触れた経験と,物を買う人ではなく作る人になると決意したことによる.高収入でも買うばかりでは貧しいのだ.買う幸せは一瞬だから.
考えて作る訓練を経れば,誰でも生活を考えるようになると私は思う.立ち止まってしっかり考えておけば,富の罠にかからずに済む.一流企業で働くのは確かにかっこいいと思う.でも,その中で本当に幸せに暮らしている人は半分もいないのではと思う.暮らしに必要な金額から計算して,希望の年収を決めて,それから職場を選んでいくのも悪くない.私は難儀したが結局は自分に合った方法で働けている.
