この街に放たれたものとして生きる方法を探ってきた.収入も職業も資産もない立ち位置から,そろそろ4年が過ぎる.ウェブ開発者として年収も資産もそれなりに持ち得て,顧みるに,これからをどう生きても自由な雰囲気であり,というより,どう生きるかを考えなければならなくなった.
今ウェブ開発のほかに大切な仕事をしている.副業であるが収益は得ない.知り合いから頼まれている申請書を作成する仕事だ.自分の大切な時間を割いているとはいえ,知り合いの家族の生活が懸かっていて,責任を果たすべき重要な仕事である.申請はすでに2度も返戻され,これ以上失敗はできないし,時間もかけられないし,製造元にも話は及んでいるので後には退けない.作業3日目の現在は,まだ全体の5%くらいしかできていない.春に申請することを目指している.
今まで余りにも物事から逃げ出した経験が多く,年齢の割に身についた経験が少ないが,その分自分ひとりで行ってきたことは多くある.生活能力は堅いといえる.しかし,世の中で稼ぐ方法を知らないし,多くを稼いだ経験もなく,金銭面では「このようなものだろう」と観じている.美容院の店主から,400万円くらい種銭があるなら独立しないのか,と諭され,ただし失敗するぞ,と付言された.
人生はどのようなことで稼ぐかが重要である,と思ってしまうのは自分が若いからだろう.将来のことを考えて資産を持つことも,現実の欲求を満たすために消費することも,どちらにせよ自分の安心や満足をもたらしてくれる.人生の知恵を本に求め,さまざまな生き方を採っている人々が世の中にたくさんいる.それらを知って自分の暮らしを大きく変えたいとはもう思わないだろう.だが,生き方にもっと多様性があると知れば,非常に豊かになれそうに思う.本を買う値打ちのある生き方の知恵を,もう少し多く持ってみたいものだ.
