開発者はみなプログラミング言語が好きな人々である.開発職を途上で進むのをやめた人々は,ほとんどプログラミング言語が嫌になった人々だ.では,ある種の人々はなぜプログラミング言語を好きになるのか.人気のある言語は,よそ者にとっては訳のわからない代物かもしれないが,少しでも開発した経験がある人には,便利な書き方ができたり,考えることが少なくても動くものが書いていけたり,その言語でしか実現できない現状を開拓できる野心を煽ったりするが,共通しているのは,プログラミング言語を書ける人が現代でも少数しかおらず,社会で特別な技能であるとみなされ,収入も多い傾向にあることも一因だろう.
プログラミング言語に親しむ人は増えたとはいえ,開発を職業とする社会人はまだ少なく,5年以内に異業種に転職してしまう人も少なくなく,開発者人口はさほど増えていない.それでもプログラミング言語の読み書きを経験した人は生涯にわたり復職を目指すこともあり,高収入,将来にわたる職業安定,知的労働の花形,時代を左右する知識,といった形容をつけて誇らしく思える時代でありつづけている.社会を変えたのはプログラミング言語であり,変化を急速にしているのはプログラミング言語である.
そういった意味付けもプログラミング言語から離れない要因だが,言語自体にも魅力がある.どの言語も論理で固められた仕様であるが,その範囲内で好きなように書いていい自由度がある.ひとつの問題を5つの異なる方法で書いてみるという常套ができるのも,記述に正解が一つではない自由度をはらんでいるためだ.また,特定のプログラミング言語に独特の機能が含まれていることにもプログラミング言語の特色が出ている.しばしば後継のプログラミング言語に取り入れられバージョンが上がることが起こる.
プログラミング言語の魅力は実現できる産物が美しく現代的であることも挙げられる.ビジュアルデザインやグラフィックスの領分をウェブは担える.デザインが好きな人にはプログラミング言語は魅力的に映る.現代に必須となったウェブである.自分は今後長い間,ウェブデザインを職能として生きていく.まったく飽きないし,制作への情熱も冷めない.プログラミング言語で実現できるウェブデザインに,人生の半分を賭け,もう半分を科学の完成に掛けるこの人生は,なるほどラディカルである.ウェブデザインの領域で多くの考案を生み出したいといつも考えている.
