ウェブはどんどん新しい技術が生まれており,追いつくだけでも大変だ,とよく言われるのだが,ほんとうはウェブで現状できないことのほうが少ないというのが実情だろう.ウェブでできないこと,すなわちウェブの技術的問題はたくさん見つかるので,いろいろな技術が必要であるように思うけれども,ウェブにできないことはもうそれほどない.誰かが新しい概念を発明するまで,ウェブテクノロジーは飽和する.
より少なく簡単な記述で動かしたい,すべての端末で同じ記述を動かしたい,一貫性のあるデザインで記述したい,管理更新の手間を少なくしたい,より速くより安全に.現状でも問題はたくさんあるし,これらは次々解決していく.ところが,ウェブの基本はそれほど変わっていない.何を基本と呼ぶかにもよるけれど.
言語も進化しているし,UIも定番化して,ベストプラクティスも固まってきた.それらを組み合わせるだけでそれなりのページが作れるようになった.この3年だけをみても相当の労力が費やされ,ウェブは充分な表現力を持ち,しかも書きやすくなった.クラウドのサービスは無料のものは少ないが,学習動画の提供は無償のものでも充分である.
技術の飽和によってウェブ開発は誰でもできる仕事となるだろう.ウェブエンジニアとしての職を失わないためにどのように差別化を図るか考えておかねばならぬ.世界の新しい発明家を期待するか,自分で発明する日常を継続するか,AI・IoTの流行に乗っかるか,そのあたりの選択も重要になる.ウェブが好きだという気持ちを忘れずに持ち続けていれば,たのしい職業人生を歩めそうだ.
