夏休みの宿題の取り組み方と,社会人になってからの仕事の取り組み方が,似る傾向にあるという.8月31日にすべて仕上げられる人は,人への協力を要請することがうまくなり,自分ひとりではできないという健全な仕事観を育てるという.逆に早く終わらせる人は,仕事と余暇の乙張をつけた生活を望みやすく,実際仕事が早い人が多いそうだ.
取り組み方はほかにもある.自分は,計算漢字ドリル類は夏休みを迎える前に終え,夏休みは図書館や公園で自由気ままに研究していた.つまり自由研究を夏休み中ずっと行っていた.読書感想文は苦手で,そもそも文学をあまり読めなかった.天体や辞書や工作の本は多く読んだが,読書=文学みたいになっていたので,読書は好きではなかった.
翻るが,今,机の上に読むべき本が並べてある.書斎を持つ弱点は本をたくさん並べてしまえるところにある.身につけなければならない知識や技術.取り組み始めればそれなりに早く習得できそうなのだが,どれから始めたいかで止まりやすい.そのときは優先順位をつけてひとつひとつ取り組めばうまくいくと父がよく言っていた.
夏休みの宿題の終わらせかたはその後の人生にずっと持ち越されるとすると,よく大人が述懐するように,子どものときもっと勉強しておけばよかったと悔やむのだろう.自分にはそういう悔いはないが,勉強する量には限がないし,すべてを身につけることはできないだろう.それでもどうしても一冊ずつ本を消化する夢や,本の間の有機的関連を見つけたい欲求を抱えてしまう.世の中の学習者の知的生態を知りたくなってしまった.
