今世紀が始まって以来ずっとウェブの時代だ.続々と新技術のアイデアがブラウザで使えるようになってきた.開発者としては,ただ新しい技術に追いつかねばならない,とドキュメントを眺めているだけではない.なぜなら,今この時も,同時代の世界中の才能たちが,それぞれの方針を以て新しい技術で世界を変革しているから.
その動きの逐一も,ウェブで確認できる.特に熱い技術には,有能な技術者がどんどん流入している.新技術の議論に参加するために仕様会議のメーリングリストに登録したり,公式団体の動画を視聴したり,もっといいアイデアを抱いたら投稿してもいい.誰でも参加できる仕組みであるウェブだからこそ,有数の技術者たちの坩堝に直接参加できる.
最新動向に触れて暫く経つと,定められた最新技術の仕様を知れるので,ブラウザ側の実装が終わるまで使うことを控えるという態度が発生する.初心者の頃は考えもしなかった姿勢だ.ブラウザが追随するまで新技術を試したいという逸る気持ちを抑えつつ,ローカル環境の実験規模で作ってみる.ブラウザが対応すれば,いち早く実装できるように.
技術部録で紹介される記事も,一般に知れ渡った段階で広まったものであると分かる.最新動向を紹介する技術部録はなくはないが記事数は少ない.定番化した技術とそれと互換性のある新概念.少ない記述で多くを実現できる実装.日々行われる世界中の技術者の貢献.ウェブの技術に完成はみられない.だからウェブが面白い.
