書店へ行ったが,意外にも買いたい本がひとつも置いていなかった.地域で最も取扱書籍数の多い書店なのだが,すべてのコーナーを回っても,欲しい本がなかった.そんなことは初めてだ.帰り道に理由を考えていて,いくつかの仮説を立てた.
まず,学ぶことが多いはずだが,学ぶことは自宅にあるということ.自分で持っている本を消化しきれていないから,新しい世界が見えなくなっている,だから読みたい本を発見できなかった.今は新しい本を買うのではなく,机に並んでいる本を1冊ずつ読み込む時期にある.手元にある本こそ,今必要な本なのだ.
次の可能性は,学ぶメディアが本ではなくなっているということ.仕事でも参照するメディアはほぼウェブだ.職場机の脇に置く本を手に取ることは1日10回もない.本はひと昔前の情報で,だからこそ信頼もおけるのだが,検索性や速報性が発達しているのは圧倒的にウェブだ.もうウェブからで充分で本は買わないかもしれない.
最後の可能性は,学ぶことが独りではなくなっているということ.今はインプットよりアウトプットが重要な時期.それは年齢もそうだろうし時代もそうだろう.アウトプットの早さと量と品質が重要な業界にいることもある.インプットによって学ぶより,アウトプットによって学ぶ時期なのだ.作って教えて習って,ひとりで学ぶ時期が終わりそうである.
