量子力学の諸問題.波には送り手と受け手がいる.波を送るのだからエネルギーを送ることで質量が減るはずである.反対に波を吸収すれば,何らかの形でエネルギーを質量に変換することで質量が増えてもおかしくない.波は送るもの,受け取るものだ.波を送れば運動が遅くなり,波を受け取ればますます運動できる.離れていくという現象はさしずめこれで説明できる.
波を送るとその分エネルギーすなわち質量が減るので,送り手の運動は遅くなる.遅くならないとしてもどんどん軽くなるので,速度はやはり鈍くなる.一方,波を受け取るとその分エネルギーを受けるので,運動は速くなる.受け手は送り手からどんどん離れていくことができるし,どんどん近づくこともできるだろう.とにかく運動の速度が増すのである.
離れていく力があるのではなくて,離れていくようにみえる現象には実は見えない波の送受信が利いていて,波を送り続ける存在から波を受け続ける存在をみたとき,離れていくように見えるのである.クラスの人気者に熱い視線を注ぐが,人気者はますます輝いてどんどん活躍の場を広げる,という道理と同じである.
どうやら量子力学は送り手に焦点を当てすぎた.ものには受け手がいて,送り手と受け手とを総合的にみる視点があって,送受信前後の運動がある.この送受信パラダイムでは粒と粒の波関係の離合集散を分かりやすく説明できる.Es-λν=Erのように表せる.宇宙がひとつなのか無数にあるか,無数にあるとしたらどの方角へ近づいているかが計算できるようになる.数式が計算していて,自分ではあとから計算できることに気づかされる,不思議な感覚がある.
