自分のようなアスペルガー症候群の人は,同じ障がいを持つ人の作品を長く好むらしい.ウィトゲンシュタインやベートーベンやパンセや相対性理論やキャンベルスープの広告やウィンドウズや不思議の国のアリスなど.絶望の国の幸福な若者論は好んで読んでいる.自分が好む本の著者はほとんどがアスペルガーなので,自分が好む作品の作者はほとんどがアスペルガーだと思って間違いないと思っているほどだ.
アスペルガーによる作品はアスペルガーの人がほぼ必ず買う.数万部売れればそのうちの何割かはアスペルガーの読者だと思う.世の中にアスペルガーの保因者や準じる性質を持つ人は万単位でおり,そのうちの何人かが名を売る商売に就く.名を売る代償は高いけれど,その分いろいろ辛そうだから自分は有名にならないよう,用意周到に活動している.
有名になることと無名のまま活動することのどちらが良い人生かというアスペルガーにとっての大問題は,スピノザ型かアインシュタイン型かで決着する.レンズを磨いて理論を組み立てる静かな思索の生活と,大注目を浴び賛辞を頂き人類の責任を背負う生活である.しかし偉大さでいえばどちらも変わらない.要は生計を本業で立てるか副業にするかの違いでもある.
そもそも人間関係を深く築かない特性を持つので心を閉ざしがちだが,外的刺激を受けないと創造活動にならない.とても面倒な人種である.バートランド・ラッセルは4回結婚したらしいし,ウィトゲンシュタインは生涯結婚できなかった.自分は初婚がもう5年も続いている.妻には感謝しなければならない.さぁ結婚記念日に行くレストランを探しに行くとするか.
