石の上にも3年.3年で辞める社員が多くなっている.しかも,組織で比較的仕事がよくできる社員が3年で辞めている.どうして3年で辞めるのか.自分もかつては1年足らずで辞めた人間,そういう行動に出る理由が分かってきた.情報通信社会,かつては情報化社会といわれ始めてから,3年で辞める社員は増えている.
少し視点をずらしてみる.3年で辞める社員は,きっと情報を手軽に入手できる技能や環境にあり,情報から判断することに慣れており,世の中も生活もすぐに分かることばかりだと思っている.3年かけなくても自分の人生は自分で歩めるという根拠のない自信があり,判断の根拠は自分の線形な成長直線を描けるかである.思考はいつも一直線である.
しかし,最近こう思う.人間,しかも身近にいる人間でさえ,数年で分かるものではない.毎週会う人でさえ,良いイメージを持っていても少しずつ関係は変化していく.ネガティブなイメージを持っている人でさえ,数年経つと魅力が分かったり人間の幅を感じたりし,当初の否定的なイメージは払拭されている.3年で変化は起こりにくいし,関係の深化は分からない.
調べればすぐに分かることばかりで,自分はその中から選んでいく.そう考えているから3年で辞められるのだ.社畜といわれる人たちの良さは,関係を長期的にみているところだ.企業も組織も不変の情報ではない.よほど嫌でも数年後の展開まで待ってみれば,意外に好転しているかもしれない.3年で分かりきるものではない.3年で辞めては勿体ないと思うのだ.
