自分は本当に良い人生を歩んでいる.そう思う.最も長く生きた人とは最も自分を生きた人であるとルソーはいった.自分の人生を最も自分が納得するように行動し自分で考えて生きてきた.だから,自分はすでに人生に満足してしまって,いつ人生が終わっても,良い人生だったと思って召される,そういう人生である.まだ若いので,そればかりではいけないが.
宇宙の謎や脳の秘密を自分で考察することができ,長年の夢だった職に就いて腕を上げ,好きな配偶者と共に暮らす.自分の願いや希望を神さまはすべて聞いて叶えてくださった.いろいろな瞬間,人生の分岐における大切な時間に,いつも神さまは御手を差し伸べてくださった.神さまのお導きがなければ,今頃病気をこじらせてさらに苦しんでいたにちがいない.
しかし,満足しきってもいけない.職能を追求して定年後も働いて食べていかねばならない.両親より先立ってはならない.小さいことにも挑戦して失敗し,年相応の経験を積んで役割を果たさねばならない.それでも知ったことは,人生から不安や恐怖が全く除かれることもあること,そして自分が望むことが望むように起こる人生もあるということだ.
宇宙の力学をはじめ,研究で成果を上げた最近までの数年間は,多分この人生で最も意味のある時間となろう.最高である.これからは普通の収入を得て,普通の職業人として生活を続け,普通に振る舞える人間を目指す.今までが凸凹してきたので,これからは多少すり減ってもいいから普通に暮らせる平安な人生を送りたい.そしてこれもまた叶う願いである.
