もうすぐそばに暖かい季節がやって来ている.季節の変わり目は体調を崩しやすかったのも昔の話,現代人の長寿で快適な環境に貢献した3大技術を挙げるなら,断熱材,エアコンインナー,そして調味料である.断熱材とエアコンインナーは,季節に関係なく暮らしやすい体外体内環境を簡単に実現した.冷暖房の使用量が世界的に減少したことは,温暖化対策としても大きいことだと思う.
なぜ調味料を挙げたかと云えば,快適な暮らしに恐らく最も欠かせないものだからだ.もし砂糖も塩も,酢も醤油も味噌もない暮らしを強いられたら.食べられるものが極端に減ってしまいそう.胡椒,味の素,唐辛子,胡麻油,塩麹.今では近所の小売店で簡単に入手でき,長く持つ容器に入っているものが多いし,さっと焼いたり茹でたりして掛ければ旨くなるものも多い.
私は食品添加物の有害性を概して信じていないので,ビタミンEやアミノ酸等は勿論,クチナシ色素やソルビン酸くらいなら気にせず買う.果糖ブドウ糖液糖,亜硝酸ナトリウム,青色1号なんかだと少し注意してみるが,普通に食べる.おなかが緩くなるアスパルテームは無害だと考えているので大量に食べることもある.どうせ食後体内で整理されるのだから大したことないと思う.
おいしいものをおいしい成分だけ抽出する技術がなかった古代のヒトに比べて,現代はおいしいものが安価で食べられる.クッキーやドーナツやチョコレートといったお菓子は安いし,味噌汁も簡単に作れるし,醤油を掛ければ大抵のものは旨い.口が旨いものに出合う頻度が過去類例ないほどに高い現代.味を調えることを「季節する」と表現した英語圏の近代を忘れてしまうほど旨いものに恵まれて幸福である.
