読書は安上がりな趣味だ.人間,忙しくしているほうが幸せなもので,仕事が多忙でもやり遂げてしまうのは,別にすごいからではなくて,多忙でいるほうが快いからだ.仕事の社会での価値が善となった近代以降,暇は重要でなくなった.暇の持ち主は逆に珍しくなり,無為に過ごせる青年こそ注目できる存在になった.無為な時間こそ,今最も価値の高い買い物となっている.
働けば収入が得られる.この単純な事実は,会社を維持するために働く人も含め,会社員の労働のおかげだ.商品は流通し,社会は維持され,機会を得て働き,収入を得ることが,簡単になっている.生活に必要なものは消費者各自にあり続けるので,資本は滞りなく流れ,会社は利潤を積み上げる.この商材も行動も高度に緊密に関係する市場だが,数式で先を読むことだってできるだろう.
実は今,市場の流れを情報の数学で捉えようと考えている.珍しいところに利潤が集まるのはなぜか,から始まり,珍しくあり続けるとはどうしていくことか,珍しかったものがありふれてしまうとどうなるか,そもそも珍しさとはどういうことか.実は誰も考えてこなかった希少性と利潤集中の経済関係を情報理論で解明し,予測したいと思う.つながりは見えないだけで,きちんと仕組みがあるはず.
もう少しで手が届く,つまり考察不足な部分がいくつかあることは自分で分かっている.考察すれば今年も日曜数学で成果を公開できる.非常に楽しい趣味だ.読書も安上がりな趣味だが,数学の探究は本当に限られた人にしか分かってもらえないが,もっと安上がりで楽しい趣味だ.紙とペン,そして徒歩とお菓子.これらが変換されて数式が出てくる,そういう機械を演じる趣味である.
