貧すれば鈍する,ということばがあるが,鈍すれば貧する,わけではない.鈍すれば貪するのだ.食事の量が多い生活をしている.麺類はいつも2人前.タンパク質も普通の倍.今まではそれだけ食べても腹は減り,肥えることなく生きていた.なぜ制限しないかといえば,むしろ太りたいからだった.世間の常識に反して,身を危険に晒す分,太ると良いことがたくさんある.
まず,ごはんがおいしくなる.炭水化物や脂肪は,肥えるほどおいしく感じるらしい.スポーツをした後やストレスによっても同様の効果があるが,砂糖や洋菓子に普通の人が感じないようなおいしさを感じてしまうそうだ.次に,時間が長く感じられる.人生あっという間よ,と話す人に,太った人は少ない.人生をエンジョイしている人の方が太っている.エンジョイしているから太ったのではなく,太れたからエンジョイできているのだ.この差は大きい.最後に,性格が良くなる.時間が長く感じられ,おいしいものが増えることもあってか,穏やかで性格が円熟できるのも,太ってきたことが影響している.
これだけ多くの利点があるので,太れない自分はどうにかして太ってみたいと思う.ただ,鈍することがないように気を付けなくてはならない.特性上,鈍いので,空気が分からないし,人の気持ちを考えにくいので,これ以上鈍くなっては食べていかれないし,自分から鈍くなろうとすれば社会から本当に取り残されるだろう.まだ34歳なのだ,やっと軌道に乗った生活を外れる理由はない.
鈍するのではなく,純する生活はありだと思う.素直で純粋な人間.そうであり続けたいと思う.神さまの望むような人物でありたい.そうすれば,毎日食べるものに困らない,少なくとも.正直で単純な人間,かつ健啖家で太ることを恐れない.純すれば貪する.そんなおじさんになれるなら,そうなりたい.単純な生活を送っていれば,そうなるのは難しくないことだと思う.
