きょう仕事で注意された.職場の先輩というか先生にだ.大変に優しい面のある方で,チャーミングなユーモアも兼ね備えた,一流のエンジニアである.そんな彼に注意されたのは,自分の「臨機応変な」対応についてだ.イベントの日なのだが,来場者を誘導する際,待機中の説明者ではなく,重要な予定が差し迫った説明者の方を紹介してしまったのだ.事は無事に済んだものの,厳重に注意された.
自分の意図では,予定はまだしばらく来ないだろう,予定の予行になるので心理的にほぐれるのではないか,来場者をあまり移動させたくない,と考え,いいだろうと思った.ここまでのことは考えた.けれどもこれはいわゆる自己判断というもので,失敗の温床である.指示を仰ぐ,が正解だったのだろう.そうしなかったおかげで,来場者への解説をスタッフ数名が集まって見守る事態となってしまった.
ここで反省するのが定石である.臨機応変.自分の最も苦手なことだ.できないわけはないが,自分の策はほとんど常人には理解されないといっていい.変わった考えを実行に移してしまうのだ.なので,臨機応変さが求められる状況に立ったら,自分の策は没だろうから,指示を仰ぐよう気を付ければいいと思った.多少時間がかかっても愚策を弄するより,きちんと公的な対処がなされる方がよいだろう.
それにしても,注意されることの少ない人生だった.いまだに注意されてもその意味を理解するために十数時間から数日間かかってしまうことがざらにある.意味が分からないと若者はよく云ってきたものだが,自分もその一人だ.意味が分からない.愚かだと云えばいい.すぐに分かるわけがないと開き直っている節がある.注意されても反省に結びつかない若者の一人であることを,帰路の新宿駅から渋谷駅までの車窓を眺めて思った.そう,まさに美術予備校時代に原宿で発見した自分の性.私は優秀な人物ではない,このことは確かだ.
