最近考えることに,一芸に秀でると他の分野も秀でやすい,という命題である.地頭は義務教育の成績で決まる,なんてビジネス書の世界で云われている.高校受験の偏差値が幅を利かせるのはおそらくこのためで,より遡ると知能指数が高い子供に将来を託したい大人たちの期待の根拠にも,この命題は転用される.
知能指数は成長によって平均的になる子供もいれば,脳の異常が見つかるか脳が壊れるかして,特異な才能が開花する例もある.脳の崩壊は現代科学の重要命題で,最近ではどのような壊れ方をしても十数年後に才能として顕れてくるという.人と同じことをしない人は,人と同じことができない人でもある.
知能指数は,教わって身に付ける学習能力の高さでもある.知能指数が高い人は,なんでも習得が早い.特に興味を持った事柄については,驚くべき早さで基礎をマスターし,自分の好きなように活かしていく.一芸に秀でると他の分野も秀でやすいという命題には,人間の可能性の奥深い原理が潜んでいる.
多芸多才な人物はどうしても著名になるからか,そうした人物の書いた本を何冊も持っている.凡人が一冊の本で書き表したかったことを,多彩の人は一行で警句する.凡人が数年間かけて理解した概念を,天才は数日で別の概念との類似性を見つけ論文にする.才能の成長管理は難しいが,答えがある問題に違いない.

コメントを残す