素朴な疑問がある.本はたくさん読んだ方がいいのか.確かに本は,自分の考えもしなかったことを仕入れる手っ取り早い方法だ.だからこそお金を払う価値がある.確かに本は,自分の可能性をどこまでも広げる.できないこと知らなかったことが,次々にできることへ変わる.本を理解する力は,本と交われば,何でもできる力へ成長する.だから本を買って読むべきだと.
しかし,読書は怠惰だ.読書は自分で考えつくことや考えることを省く.もしその本がなければ考えつかないということは,それを考えずに怠けているからだ.自分で考えつくからこそ知識になり記憶に残るのだ.一度も考えたことのない初めての考え方は,好奇心を掻き立てられなければ忘れ去るのみ.本は手元に置けばいつでも読める.いつでも読んで済ませてしまう.
今私は部屋に面白い本ばかり買いすぎて,恥ずかしいが本がほとんど読めていない.どこから手を付けようか悩み,頁を繰って熟読したいと思うあまり,時間のことが頭を掠め,この本を読む時間でできることがある,もっと良い形で時間を使いたい.そう思ってしまい折角の面白い本は読まれずに棚に戻される.この習慣をどうにかしたい.本棚の一隅から熟読するべきなのか.
結局,本は自分の可能性を広げてくれる分だけ価値がある.本当はウェブにも部録や動画にも価値がある知識は多くある.本を敢えて選ばなくても部録や動画で時間を「賢く無駄にする」ことができる.いかに無駄にするか.どうやらこの辺りに「本読めない病」の処方箋がありそう.いかに無駄に賢く使うか,読書もウェブも無駄だ.そして人生に無駄を仕入れることが生活をより豊かにするはずだ.

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