知能検査を受けた人でも,結果まで見た人はなかなかいない.学童期に一度受けるそうだが,学級編成の参考にしたり,障がいの可能性を見つけ出しておくために利用するので,生徒本人には知らされないことがほとんど.自分のIQを知っていますという人は,おおかた大人になってから検査した人で,しかも検査通知の封書を自分で開いた人だけだ.他に一般的なテストで得たという人は,本当のIQではないだろう.
知能検査は元々頭の良さを差別化するためではなく,障がいや病気のかかりやすさを判別するために行われるので,自分のIQを知っているという人は,大抵何らかの障がいや病気の持ち主であろう.健常な人物は知能検査を受ける機会がないし,受ける方法も場所も知らないだろうし,だから頭の良さを篩にかけるためのものくらいしか知らない.だから,誰かのIQを聞いても,その内訳まで知ろうとする人も少ない.
IQにはいくつかの検査方法があるが,私の受けたWAIS-IIIは2つの検査部門があり,それぞれに6つだかの項目があり,その平均がIQである.私は積木や記号や知識など5項目ではIQ 150~180が出ているが,文脈完成ではIQ 50である.平均してIQ 133であるのだが,上位と下位の差が130もあるため,私は自閉症スペクトラム,いわゆるアスペルガー症候群と診断されている.IQ 130以上は異常値といわれていて,それだけでも病気である.
IQ 130以上の人は,世の中のほとんどの人と話が合わないので,孤独になりやすく,人と交わりを持ちにくい.でも,本や芸術的昇華や研究など,打ち込むことに情熱を燃やせるので,不幸とは限らない.幾何や記号や言語など,いくつもの項目でIQ 130以上を記録した私のような人間は,人生に飽きることがない.学校では厭世的になったが,社会に放り出されたら水を得た魚.どこまでも泳ぎぎって旅立てる人生だ.

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