職場で些細な事件が起き,私も軽く巻き込まれた.一悶着後,上司が私に「大切な人材」との声を掛けてくださった.どういう意味だろうと考え,何となく忖度するに,こういうことだろうと思った.上司に必要な存在,云わば片腕であり,自分の業務や地位を保ち向上するために必要な技能の持ち主.我乍ら鼻が高い認識だけど,案外そういうところだろうと思う.
上司は勤続10年以上の人材で,同じ室には過去様々なスタッフが在籍し働いていたそうである.しかし,今でも残っている人は私だけ.想像するに厳しい人間関係の力学で疲弊したのではないかと思う.なるほど上司はいい面も多く,リーダーの器も備えていると思う.抜け目なく指示を出すし,筋を通し話す人物だ.その自分の論理に従わせる面は欠点の一つと私は感じる.
上司は今年度から昇進し新たな地位を得た.恐らくウェブ業務での2件の表彰や,私のような障がい者の雇用を調整し続けた功績が認められ,長らくの勤続に加算評価されたのだろう.こう書くと,ウェブプログラマの私の影も確かに存在する.私は良い部下なのかもしれない.上司を昇進させる面があったのかもしれず.だからこそ上司は仕事で私を手放せなくなったのだろう.
上司はプログラミングはできないし,デザインのディレクションはこだわりが強すぎて担当を疲れさせる.自分で作る範囲の技能を上回る欲求が常に湧いて出ているような人格だ.周りは従うしかない.今後の振る舞いに一抹の不安を覚える.ただ,私も現在の職場でもう1千万円近く稼がせてもらったので,私も職を離れることができない.職場の人間関係ってこういうことかと初めて知った.
