私の苦手な人と話す機会があった.その人物は私にとって印象が悪かった.周囲の状況変化に気付きやすく,それを気軽に表明するので,煽動され振り回されてしまい,疲れてしまうことが多かった.多面的な良いセンスの持ち主でアートやデザインに造詣があり,多くを勘づいてしまうのでその分エネルギッシュに動き,同僚を巻き込むタイプの性格.どちらかといえば白魔術の人間性で,職場では良く評価されている.
その人物との打ち合わせがあった.きょうは長期休み明けだった.驚くべきことに印象が良かった.興奮も抑えられ落ち着いていたし,激昂も非難も緊迫も特になく,良く心の平安と均衡が守られたまま打ち合わせは終始した.非常に安心した.そして今度は自分が変わる時が来たと思った.その平安と均衡の向こうには,社交上の或いはビジネスシーンでのマナーや暗黙然としたルールや余裕を見て見られる次元が見えたのだ.
心の平安と均衡の取れた言動を目にすると,自らも平安と均衡を取れているか振り返る作用が働く.自らを顧みても常に平安と均衡を持って言動しているかと指摘されたら肯定できない.心の平安と均衡は崩れがちであるか低次に留まっているので,高次元の均衡を目の当たりにすると自らを反省したくなる.均衡にはより高次の均衡があり,平安にはより洽大な平安があることを悟る.そうしてすぐに精神管理法を見つけるのである.
きょうはその苦手な人物との打ち合わせで自分の言動を顧みた.棘があったろうし無駄もあったろう.乱した言葉もあったし気後れさせることも言ったろう.舌を制することは難しい.人間関係の巧拙を左右するほとんど全ては舌である.これからも思考を続け,言葉も舌も使っていく.最低限の訓練のためである.その時に細かい印象に注意を払えるような人物にはなりたいと思えないが,繊細な感じ方があることは知りたいと思う.
