今までこんなことは感じなかったのだが,好きなことが難しくなってきた.それは,何も考えなくても楽しめた趣味が,異様に難しいと感じられるようになってきた.なぜかといえば,今まで何も考えてこなかったが故に,自分の感じるまま思うままにしていただけであったことがはっきりし,これからその趣味を本物にするために,超えなければならない脱ぎ捨てなければならない,いわゆる垢抜ける時期が来ているのだと思う.
具体的には,洋服,読書,音楽が特に顕著である.株式投資やウェブ開発や数学研究は今まで何度か垢抜けた時期を経たから,今は好調を維持している.しかし,服なんていい感じのものを適当に買って街を歩いていただけだったし,読書も興味を惹く本を買っては積読していただけだった.音楽に至ってはプロの指導を受けるまでになったことでその世界の奥深さと毎日の習慣の重要性に開眼してしまった.
来たる40代を垢抜けた洋服と本に親しむことは,普通の場合でも簡単なことではない.本は読むだけなら簡単だが,実行に移したり語り教えたり本当に身になるよう読み込むことは時間がかかる至難の技である.服を1点ずつ買ってもコーディネートが全てなので,これ以上買わなくてもおしゃれを楽しめるくらいにならねば.これで他の趣味を持つ時間や余裕はもうなく,恐らく今後しばらくは服と本と音楽に時間をかけるだろう.
とはいえ趣味で大切なのは楽しめることだと思う.少しも楽しくなくなれば,その趣味を続ける必要がない.しかし,今では奥の深さを知ってしまった音楽,読書,そして洋服である.少しくらい苦しくなっても生涯の趣味として続けて乗り越えてしまうだろう.もう少し頭を柔軟にしてそれぞれの世界を横に広げたいものだが,具体的にどんな方向に進んでいくか,まだよく見えていない.世界が広いことだけは感じられる.
