思考は無限に続く,続けられる.やめてもまた考え始められる.考えることは社会のさまざまな場面で義務的になる.考えることは無料の遊び.思考こそ世界を自分を変化させられる.思考は世界に新しいものをもたらす..そんな言説をたくさん読んできた.どれもそうだと思う.実際そうだから.そして,思考の刺激になる言葉もあれば,邪魔になる状態もある.思考を続けるスキルを高めたい.
人が怒り出すような言葉には,一面の真理が隠れている.なにせその人のそれまでの人生を支えてきた考え方が裏にあるからだ.長いことそうやって生きていられたのだから,その考え方はある程度正しい.しかし怒らせた人の考えにも一理あるだろう.そう考えて生きているのだから.どちらかが間違っているという構造ではない.けど,この対立から意味を引き出す術を知っていたらより有意義だろう.
多分,思考を切り替えるためにメタな道具を知った方がいい.問題的状況からパターンを見出し,計算的に切り替えることができる.そのメタ道具をたくさん知っていれば,ひとつの問題から切替結果をたくさん引き出すことも可能だ.強い人はひとつの問題から無限の意義を引き出せるだろう.一回の経験を生涯の糧にできる人はそうである.そうした習慣は無限の思考を生産し,人類未踏の発見を含む考察も出る.
気をつけるべきは,実は思考の飽和である.考え尽くしてこれ以上ない恍惚点に嵌った時である.すべての物事が自分の考えてきた尺度で理解できる気になる.それは常識とは離れているかもしれないが,物事の性質を純粋的確に捉えるフレームでものを見られる.それは学問の達成点である.しかし,それ以降の人生をよく楽しむにはそのフレームさえ捨てて考え直すときだって必要になる.構築してきた理論がすべて瓦解するほどの刺激を求めたい.
