読書で得られるあたらしい世界のメガネ.哲学,数学,文学が好きなのだが,ある程度探索を究めると,より見晴らしが良くなり,普通の水準から逸脱したクオリティを求めるようになる.これは学問に限らない話であるが,哲学や数学が教育による素養を必要とするのに対し,文学は文字が読めれば世界の入口に立てるから,手軽に多様な世界を見ることができる.今回は私が入ろうとしている文学者を列挙したい.
1.フィッツジェラルド
妻の本棚に見つけた作家.アメリカの黄金時代を色濃く記述しているのだが,全体を哀愁が漂い,登場人物の人格も不完成で,表面をなぞるような人間関係がまた面白い.
2.オー・ヘンリー
この作家も妻の本棚に並んでいた.短編集であるが,構成にしっかり思想のあるオチを用意され,短編ひとつひとつが味わうに値する.読みやすいので話の展開にスピードを感じる.
3.トーマス・マン
私が育った地元でこの作家の本を読みながら散策していた.印象を受け入れ新鮮に世界を捉える時期にそうしていたので,若かりし日の幸福とこの作家が直接つながっている.
4.ヘミングウェイ
悲劇で生涯を閉じた作家.力強い描写で書き貫いた作品も長編でもなく一度読んでみようと思った.自死で生涯を閉じた作家の作品は読まないようにしてきたが,これは例外.
5.フローベール
芥川龍之介がかつて読んでいた作家のうちの一人.私は詳しくないけど,モーパッサンやバルザックと並ぶフランスの巨匠らしい.興味本位で文庫を買っておいた.
6.ロダーリ
児童文学を多数残した女性作家.「猫と共に去りぬ」など捩りをはじめとした強いユーモアが作品に鏤められ,読みやすい上に読んでいて楽しい.話を自分で作ってみたくもなる.
7.サラマーゴ
改行や段落の概念を削ぎ落とした文体で有名.先日有隣堂に行くと一角を占めて特集されていた.最新刊も興味深いテーマで書かれている.今一番期待を寄せる現代作家.
