もし人生やることがなく時間を持て余している人がいたら,珍しいと思う.これだけなんでもある時代に,何もやることがないなんて,どういうことか.羨ましくはないし,不憫に思う.人生はなにかをするのでなければ生きる意味はない,それはそう思う.そこで,何もしないことを選べるほどの勇気はない.何もしないことが辛いから何かを始めるのだし,うまくできるまで極めたいし,誰かに役立つ職業にしたくなる.
始めたことを職業にする道の出発点は,暇を持て余すこと.現代ではそんな人は多いと思う.なんでも売っていてなんでも手に入る.しかし,それを楽しむにはどうやら知識や教養がいるし,深く広く楽しむ方法を自分で入手することは困難だ.そこから学びが始まり,先達に出会い,下積みを経て,職業人になっていく.実務を経て一人前になったら,今度は自分が誰かの先達となって,教え子を幸せにしていく.
やりたいことなんて尽きないのである.だから一生にいくつかのことしか成せない.そのほうが現実味のある見方だ.時間はいくらあっても足りない.やってみたいことが増え続け,程度が上がり続け,達成して満足できる水準も上がる.そうしていくほど職業人としての価値が上がり,お金に困らない人材になる.このキャリアパスは現代の理想的な道で,もし合理的に生きようと思ったら,この道が最適である.
やり始めたら終わりはない.区切りはあるし,区切りをつけることも重要だ.でも,一度で終わらない性質がある.一度美味しいと思ったお店には複数回行く.アンテナが情報を見つけたら何度も更新をチェックする.何度も繰り返すから脳が記憶する.自然と覚えてしまうことであまり知られていないことがあれば,それは実は大事なことである.少しの人しか知らないことが山のようにあるけど,その種類は今後も増え続ける.
