きょうは通院日.減薬を達成した.春に比べ半分に,薬代も半額になった.大変好ましい.薬なんぞできることなら飲みたくない.薬とは人工物,そして体内でどう振る舞うかわからないほどの難物だ.今の主治医は話のわかる人だ.医師は薬を処方したがる.でも良い医師は薬をできるだけ出さない.生活習慣によることを知悉しているので,薬で全症状を解決しようと考えない.これが良い医師の条件であろう.
父にも妻にも減薬を報告した.父は感慨深いものを感じたそうだ.18年間も服薬し続けてきたのだ,医療費だけでも数百万円負担したのだろう,今こうして最少量になったことを喜んでくれた.この回復は妻のおかげであるので妻に感謝し,妻の好物をお土産に買って帰った.こうしてきょうは感激に心が動いたので,案の定あまり眠くない.こうして記録を認めていると薬が効いてきて徐々に夢の中に陥ちる.
そういえば私の好きな作家が定まってきた.円城塔,平野啓一郎,カズオイシグロはなんだかんだ買って読んできたし,川上未映子,綿矢りさ,朝吹真理子の各氏については,ファンであることを隠さない.今夜も結局その作家の文庫を開いて読んでみて不思議に思った.どうしてこんなに明解に投影できる世界を言葉だけで構築できるのだろう.いつものことながら言葉のプロは恰も魔術師に思える.
主治医も作家もそうだと思うけど,心の状態を切り取って捉えるその捉え方が人それぞれで画一化されない.同じ業種,同じ職種であっても,全然異なる.人間の考えることは各者各様のはずなのに,同じであると想定して共感しようとしてしまう.共感できる人は優しく優れているように見えるが,実は一線を乗り越えてしまっている.わからないはずの人間を安易に理解できると思わなければ,大概のことは楽しめるはずだ.
