YouTubeで音楽を聴いていたら,私の出身地の風景を思い出した.高校卒業まで住んでいたその地域は,今でも出店が止まないほど人気が盛んで,工夫された新製品が容易に入手できる便利な場所だ.最初通学していた高校も地域で最難関のところで,そこを2年で転学した後の生活は私の人生の独自性を決定づけ,自分の人生が良いものになることを確定した.自分らしさを考え始めた当時,美や真理に軸を置いたのだ.
高校3年の時,実際は3年を飛び級して4年生だったのだが,市内を自転車で巡ったり,建築水彩を描きに行ったり,平日午前からスポーツジムに通ったり,学校とは疎遠に暮らした.大学受験の時期になっても受験勉強せず,哲学の文庫を読み込んで,そのおかげで国語の偏差値は全国で2桁台と不自由なく,倫理の筆記で入れる大学を選んで実際合格した.だから今でも思うのは受験勉強を全くしなかったという思い出だ.
この1年ないし2年の間,渋谷や新宿にはよく通った.上野や本郷にもよく行った.東京の一番良いところに一番良い時期に通い詰めたことが,私のその後の人生に大いに良い影響を与えた.大学生になっても深夜に通った日もあった.水彩を描きに出かけることはめっきりなくなったが,当時聴いていた印象派やロマン派や現代音楽は,今改めて聴くと当時を鮮やかに思い出させる.今聴いているのはその坂本龍一である.
大学生として始まった20代の暮らしが,何の後悔もない鮮やかで美しく自分らしい時代だったと回想する.その10年間があるから今こうして幸福な時間が続いているのだと考えている.多くの人に迷惑をかけ,酷い行動もしたとの反省もある.そんな迷惑は流れ許されると思っている.信仰を持った27歳の時,神に許してもらったからである.これからどのような文化の中に生きようか,何に賭けるか考える休日である.
