本当に楽しいことは,苦楽を通り抜けた後に待っている.半生を生きてきた経験訓である.若い時の苦労は買ってきた.そのおかげで楽しく豊かで幸福な30代を過ごしている.そうして考えると,これからも苦楽のある経験を重ねた方が,さらに数十年後の生活がますます輝くのではないかという気がしてくる.今は簡単で容易な方向に流れつつあるけれども,真の幸福とは楽だけで成り立つものではないと思う.
若い時の苦楽は,私の場合,障がいを負ったことで象徴的になった.18歳で通院し,27歳で認定された障がい.障害基礎年金が5年分下りた椿事もあったが,それ以降は私を差別する人との関係のこじれを経験し続けた.差別するなとは言えない.誰だって差別くらいする.障がい者ですと言われれば身構える.無理もない.この苦難が,先日の診断で主治医に寛解と言われたことで,私から去ろうとしている.
苦難を身につけておくことが習慣になってしまっている.その苦難を取り去られたら,新しい苦難を背負い込みたくなる.その苦難とは,障がいからくるいわゆるコミュニケーションスキルの欠缺である.仕事になるかと言われれば返答に窮するほどきつかったので,今仕事になっているのが奇跡的である.上司が考えてくれていることに感謝する.でも,今度はその上司が限界だという.まさにご尤もな発言である.
だから考え方としては,今まで考えに考えてくれた上司に対し,それに比肩するほどの思考量は持てないにしろ,考え方を省略するような仕組み,今の普通になっている習慣や規則を変更する思い切りを提案するのも一案と私は思う.上司にはこれからもお世話になるのだろうし,一定の信頼を得ている.辛く小言を当てられ茫然とすることもよくあるが,まだまともな方である.処世術を編み出す時期に入っている.
