今の世の中が最も便利な点は,大体何でも知れることだ.知りたいと思ったことはうまく検索すればすぐに知れる.方法がわからなければ検索してたくさん出てくる.暇さえあればサイトを見て回れる.不安はすぐに解消するし退屈は感じなくなるし,精神の健康が高い水準に保てるこの時代,情報を制する者は人生を本当に制していると思う.情報以外にも,音楽や絵画や工芸にも触れられる.制作する人も多い.
情報提供を商売にしようと考える人も増えた.私もWEBサイトを作る仕事しているからその仲間である.でも,軌道に乗せることは至難なので,私は本気で取り組んでいない.研究の面も趣味を出ない域であり,いくら質が高く斬新で有用でも,発表して有名になろうとは考えない.科学技術は早く進歩しすぎていると感じている.もっとゆっくり進歩しないとこの時代はいつか枯れる.そう思っている.
知りたいことは誰も知らない発見でもあろうけど,自分だけが知らなかったことでも良い.むしろ後者の方こそ知る価値があることになるだろう.皆が知っていて自分だけ知らない状況は,明らかに損だし変だしずれている.でも,関心も持てないことを知ろうとは思わない.これが検索の弱点だ.自分の知りたい情報にはアクセスできるが,そうでもないことにはきっかけがなければずっと辿り着けないのだ.
大体何でも知れて実行できる,と感じている人は今の社会に適応した人だ.同時に,その社会を終わりにする人でもある.情報は学習の完了と共に次の段階へ移るからだ.情報の獲得には上限はない.だから続くのであるが,ある程度満たすと好奇心は次の対象へ移るから,ある対象に好奇心を持ち続けるには期限がある.これを長く持たせるか,すぐに満たすかは,獲得設計による.計画的戦略的に向き合うべきだ.
