私は毎日同じメニューで食事しても飽きない人間だ.実際,学生時代に1ヶ月毎日白菜とうどんを食べていたこともある.実は今,節約ゲームの最中である.先週は現金を一銭も使わずに過ごすという制約のもと暮らしていた.結局,髪を切ったので千円余り使ったが,それ以外の現金支出はしなくて済んだ.なかなか楽しい遊びになった.結果が目に見えてわかるし,収入が低い時が来た場合の生活訓練にもなる.
今,面白い本を読んでいる.代官山の蔦屋書店で出会った料理の本である.料理を4つの要素で説明する.塩・油・酸・熱のことだが,これを応用すればどんな食材も美味しく調理でき,レシピがいらなくなるという.文章がエッセイ風で進みやすく.挿絵も解説並に読みやすい.まだ読み終えないうちから,早速,スーパーで食材を調達し,一口大に切った鶏のもも肉を,この4要素を取り入れて調理してみた.
肉質が柔らかいという触れ込みの鶏もも肉をハサミでカットして,塩麹で2時間漬けて,20種類のスパイスをキッチンでブレンドして作ったカレー粉を塗した.フライパンにオリーブオイルを敷き,中火にしてじっくり焼き,バルサミコ酢を振りかけて調整し,水分を飛ばして出来上がり.元来の肉質に加え塩麹のおかげか,柔らかく,旨かった.本の内容を勉強するための前哨としては,よくできた.
今もなお本を読み終えてはいないが,非常に関心を唆られる.そして,本の後半にはレシピが100ページ以上にわたって載っている.この本を通過すればどんな食材も自由に料理ができるようになるような気がして,読み進めつつ実践するのが楽しみである.蔦屋書店では,料理人が書いた本や料理人を取材した本も買った.それらも併せて読む.なるほど,私が欲していたのは食を思考可能なものにして,自由に作ることだったのだ.
