洋服選びから解放される時が来た.今まで私は洋服が好きだと公言し,恥も外聞もなくさまざまな服を買ってきた.数百万円くらい使ったのではないかと思う.しかし,ようやく物欲自体が消え,買い残ってきた定番の服を着回して満足する時がやってきた.まさかあの自分がこうした基本に戻ってその中で満足するようになるとは意外であり,洋服を買いに行くことに実は相当疲れていたことを悟ることができた.
もうできれば服を買いたくないと思っている.服を買う楽しさが消えて失われている.それは何かのきっかけでそうなったのではない.洋服を店頭で選んで買うという行為そのものに疲れてしまったのだ.お金を使うことは何を買うにせよ疲れるものだが,洋服は特に疲労を残す.失敗することが目に見えているものも買わざるを得ず,その選択眼のなさを自責することに疲れ果てるからだ.つまり買い物がうまくないのだ.
買い物の悩みは今年になって勃然と生じていて,できるだけ買い控えてきた.今年服を初めて買ったのは6月のことだった,やはり半分はいらない服だった.この結果に嫌気が頂点に達し,もうできれば買いたくないと思うようになった.何を買っても私はおしゃれではない,そう信じる節もあって,自分を苦しめてしまう面がある.これは長年の事実で,シンプルな服装に収まれば解消できる悩みだと信じている.
今日UNIQLOで青いジーンズを2着注文した.生まれて初めて買うジーンズ.先月は生まれて初めて黒いパンツを買った.ジーンズと黒い服は,私がずっと避けてきたものだ.今その思いが折れ,同時に自分の洋服への拘りも消えた.これからは青いジーンズを中心に着回し,あるいは黒いパンツと合う服を残して他は捨てる.今日70Lのゴミ袋いっぱいの洋服を回収箱に預けた.もう洋服を選ばなくて良い.解放されたのだ.
