人生はまだまだ長い.仕事は重要なことかもしれないが,それほど重きを置くことはできない.私はかなり長い間そう考えている.仕事ってそれほど人生を懸けてやることなのだろうか.私はとてもそう思わない.新たな仕事を任せられても,責任ある立場に昇進しても,嬉しくない.それだけのことである.仕事を喜べる人は昇進し収入も上がるのだろうけど,私はお金など多く欲しないし,立場や肩書もいらない.
それはなぜかといえば,私には趣味が多いからだ.人生の目的を趣味における達成において生きているからだ.これは高校生の時に固まった考え方だ.進学校を中退して美術学校の門を叩いた理由は,人生を豊かに過ごしたいからだった.中退により出世コースから降りるのは当然のこと.今でも何の後悔もない.スモールスケールな人生を送れればそれが一番良い.目立ちたくないし,ひっそりと静かに生きたい.
達成したい趣味とは,今は文学とCGと合唱である.いずれも時間と技術の訓練がいる.例えば文学なら英語の上達が必須だ.普通なら仕事で使うから学ぶのだろう.でも私は読みたい作家がいるから勉強するのであって,それを達成しても収入には繋がらないし,誰からも賞賛されないし,知られることさえない.でも,その達成によって自分の幸福が上がるのだから,時間をかけて取り組む価値を感じるだけのことだ.
人生で達成したいことがある人は,実は少ない.それが仕事ではなく趣味である人は,もっと少ない.趣味のために生きる人を趣味人というが,何を重要とみて,そこにどれだけの割合を割くか.それを決めるのは自由なはずだ.私は殊更この比率を人には言わない,自分で決めているから.そして,誰かと比べるものでもないので,ひたすら達成を胸に自分で努力を続けるのである.誰に言われるのでもなく.
