数学のトピックを集めたサイトを作りたいと思いながら,そんな時間がまったくとれてはいない.すでに学生のとき,なんでも計算するサイトや,いまも数理研究所と称するサイトをもっているのだが,数学に対する思いが鬱屈したままなのだ.軽い仕事と家事をこなすことが日課だとして,そのなかで研究に情熱を傾ける時間をどのように割くのか,その時間配分の方法さえ発明できれば,どれだけ進むだろう,と思いながらこのような記事を書くことに時間を使っている始末である.
学生のときは数理とは関係ない専攻で,7年間の大学生活のほぼ毎日数式を読んで過ごした.その幸福な時間といったら,両親に感謝し尽くせないほどである.その時間が可能だったのはなぜかと今考えている.仕事をするのは父だったし,家事をするのは母だった.すべての時間を勉強に充てられたのは,生活の基幹を両親に頼っていたからである.そう思うと,学生という時間は社会人の時間と異なり,実績を挙げたり研究を展開するのは社会人の時間のなかではふつう難しいのだろう.
しかし,ウェブがある現代では,社会人と研究者を兼ねる人がとてもある.アウトプットをどうやって出しているか,その時間管理術が出版してあれば読んでみたい.細切れの時間にまとめ,発酵させる時間を確保し,仕事で研究に関連した職種を選べば,研究環境を得たことになる.社会人になって研究したいなら,まず研究環境を設計することから始めるのだ.環境が思考に慣れてくれば,成果は次々効率よく上がってくる.環境に思考を合わせるのではなく,環境を思考に合わせるのである.
部屋にあるものを制限し,休日の使い方も,食べ物も収入も家族も,すべてをともにして成立するのが研究生活である.人生は長いので,いくら研究が捗らなくても,いくら世の中に認められたいと思っても,それを実現することは,おそらくかんたんだ.それによって失うことのほうが,大きいとき,研究を故意に休ませたり,成果を発表しないことを選択したり,そんなことも考えるのが研究生活である.成果をすぐに発表できる時代だからこそ,生活をより楽しもうとできるのである.
