この1週間は毎日,日没後に外を歩いていた.クリニック受診,合唱団の練習,退勤後の帰宅,食材の買い出し.最近とても日が過ぎるのが早く感じられるが,その分,夜は長く感じられる.その長い日没後の時間に,余暇活動に取り組んでいるが,すぐに終わってしまう.同じ時間のはずが,太陽の有無によって伸縮するかのよう.師走は例年あっという間だが,もうそんな時期を迎えると思うと早い.
夜が長くなるだけで早く眠れるけど,起きてもまだ日の出前なので何かをしようとする.その時間も恰も夜の一部であるようだ.夜が長いということは,余暇活動で神経の興奮が高まるので,肉体の疲れというよりは神経の疲れで眠れる.光を目に入れる利点が,冬では減るのだ.その分,より長い間,神経を集中して取り組める面もある.日中の明るいうちに活動する季節が過ぎたことを意味する.
実は,この1週間,ものを読んだり書いたりすることがほとんどできなかった.それまでは文学を読んだり科学雑誌の記事を読んで話したりできていたが,この週になると突然できなくなっていた.時間が取れなかったというより,読む欲求を失い,読む習慣を忘れた.光の量が興奮の大きさを意味するので,暗い時間は知的好奇心も減退するのだろう,習慣も忘れられ失われる.老化に似ている.
これから40代が近づくにつれ,人生の夜は長くなる.今持てる好奇心が生涯続くとは思えない.今のうちにしたいことはしていかねば,したいことができなかった人生になっていく.今は読みたいことや書きたいことが尽きずに出てくる.それを読んで書けるのは,今だ.長くなる夜に太陽光線の量が減ることから,人生の晩年を考えてみた.冬らしい脱力を感じる.先細る人生を思うしか今はできない.
