単純な事実を発見した.書斎に机が2脚ある.1脚は仕事机で,向かいが扉だ.いつも玄関から妻が出勤する様子も帰宅する様子も見える.一方,もう1脚は最近まで鍵盤を置いていた机で,壁に接している.鍵盤を取り去ってから読書机として使っているが,どうも最近悩みが増えた.お金のこと,仕事や生き方のこと,合唱や趣味まで悩むようになり,何か別の原因があると思うまでに至った.
それが壁を向かいに机を配置したことのようなのだ.椅子に座っても向かいが壁だと目の前が詰まっているようで見通しさえ持てない気がする.その状態で考えてみても,得られるものはあるけど幸福や快楽には結びつきにくい.反対に,向かいが廊下や玄関だと,椅子から見える風景が伸びて開放的になり,良いアイデアも湧いて出てくるし,何より精神的快楽を簡単に得られる.これほどの違いがある.
そこで,空間構成術として考え応用してみた.壁に向かわせないで少なくとも部屋に向かわせ,壁を直視しなくて済むように机を配置してみた.椅子に座ると壁に面を向けなくて済むようにした.机の短辺に対して椅子を置き,机の長い面の方向に自分の物を多く置いてみた.すると,椅子に座るだけで気がしゃきっと保たれ,自分だけの空間だという感じがしてきて,休憩空間として磨かれていた.
壁を向いて座らないこと.これだけで気持ちが塞がない部屋を作れる.この骨は大変単純なものだ.また,短辺に椅子を置き,机の長面に自分の物を多く並べることで,自分の給料で買ってきた物が多く目に入るので,人生をより豊かな気持ちで振り返れるので,明日への活力も湧いてくる.部屋の構成術と心理学は関係している.心理的な理由で困っているなら,部屋に単純な理由があるためなのかもしれない.
