小規模で生きたい.お金を多く持たないと決めてから,いろいろと考えやすくなった.UNICEFやUNHCRへの募金を始められたし,自分の欲しいと思う物を買えるようになった.募金はこれで毎月4万円ほどになる.結構な額だが,投資して増えても使い道が見つからないので,有効に活用してくれる団体に送りたいと思う.欲しいと思う本や服を買うようになり,ちょうど良いので大いに満足し裨益している.
残りの人生が今と大して変わらないことを理解するようになった.おそらく,今の職場に後20年余り勤め,今住んでいる家で暮らし,スーパーも存続しているだろうし,書斎にある物も減らさなければ減らないし,ということは服もガジェットも捨てなければ持ち続けられるし,書斎の風景も変えようと思わない限り大して変わらない.今の生活が延長して壮年期も老後もある.この事実を理解するようになった.
つまり,変えなければ変わらないのである.変わらなくて済むのである.これ以上,物がいらないと考えて30年買わなければ,今あるものが30年後も存在するのである.この当たり前の事実に,正直私は気づいていなかった.物は捨てなければ持ち続けられるし,ずっと使い続けられる.一生ものの買い物を既に私は何百回としてきたのだ.老いて死ぬまで持ち続ける物を,既に私は多く持っているのである.
今以上物は必要ないと思った途端,お金も空間も減らなくなる.今持っている物は全て,捨てなければ生涯を共にする持ち物となる.将来にかけて欲する物が出てくるかもしれない.何か新しいことに関心が出てくるかもしれない.そのときは買うためのお金も置くための空間も確保できるだろう.しかし,これ以上何を増やすべきなのだろう.今持っている物で今幸せなのだ,これを続けようとすることも生き方だ.
