少年の頃,父に本気で質問したことがある.お金って使わないといけないの?と.無理して使わなくていいんだよ,将来のために貯めればいいんだ,とその時答えてもらったので,お小遣いやお年玉をそのとおりにした.そのまま私は大人になった.少年時代に買った物は,最安の大学ノートと鉛筆,ところてん,天文学の専門書くらいだ.同級生の親御さんから心配されたことも覚えている.
今でも本には投資している.書斎には本が数百万円分はある.簡単に買いすぎているとは思うけど,無駄になった本はなく,どの本も少なからず読んだので貴重な知識として身についている.私には人の持っていない知識ならたくさん持っている.でも,物として人気のある物は余りない,一部の服くらいだ.私の書斎には本と服とPCガジェット類しかなく,服は80着,PCガジェット類は30点と上限を決めて持っている.
お金は使わないといけないのだろうか.経済が回ることを考えれば使った方が良い.でも,私は貯蓄しないで投資している.これで世の中を回すことに充分貢献している.だから私は物をもう無理して買わないことにした.この1年間無理して買ってきた物は,売るか譲るかしたばかりで無駄だった.お金は投資に使えば良いのだよとは,父も少年には言えなかったことだろう.大人ならそれで充分良い.
最近は服もPCガジェット類も欲しい物がなくなってきた.今持っている物を長く使おうと考えたくなっているからだ.もうデザインも性能機能もよく練られており,買値以上の価値を持つと判断できる製品ばかりである.良い物に巡り合うだけの眼を持てたからかもしれない.買う眼を養う,これもお金を使う意義である.これも経験のうち,これからますますお金で物を買わずに暮らしてしまうだろう.
