人生は自分だけでは思うようにいかないもので,大学時代を謳歌できなかった原因は,付き合った彼女に相手がいたことだった.二股の相手にされてしまったのだ.私は子どもを持たないように性交はしなかったが,その女子を好きになってしまった.大きな恋愛だったが,どのみち破れる恋である.当時は病気持ちだったので,すぐに精神病院に入院する事態となり,学生生活の予定は破綻した.
本当は大学図書館に籠って研究したかった.追究したいテーマが山ほどあった.しかし私の学生生活は,講義に出て実家に帰宅することを繰り返すことでしかなくなった.つまり,認知行動療法の実践が主になり,学生ではなく患者として,一人暮らしではなく実家住まいとして,持病を治療するための時間に変わった.その女子は本命の彼氏と本当に結ばれて,子どもを持って幸せに暮らしている.
私の理想の学生生活は,研究室に入ったら,巨大な大学図書館で本に学びながら,プログラムを書いてシステムをいくつも作ることだった.当時のPCスペックは高が知れているので,大したものはできなかったはずだが,学びたかったことはたくさんあった.実家でも本は読んだ.有機化学の本である.その結果,大学院で生命化学系に転籍でき,大学院で本を読めた.初めて学生らしい生活を経験できた.
人生は信仰によって初めて思いが叶っていく.信仰を持つ前の私,すなわち学生時代の私は,望みが叶わず絶望していた.その絶望は深いものだった.しかし,社会人2年目で障がい者認定され,教会に通うようになると,知り合った今の妻との恋愛は結婚に至るし,障害年金が5年分下りるし,希望していた憧れの職も得られた.学生時代に欲求不満を抱えたからこそ,その後の人生は豊かになった.
