1日の時間を有意義に使うには,思考をクリアにしておくことが重要だ.何もアウトプットせずに過ごしていると,タスクが積み上がり,着手するまでのハードルが増し,新しい考えも知識も吸収できない.そうなれば,本を読む意義も薄れてしまい,知的活動ができなくなる.1日のうち少しでも意識を掠めた思考は,書き出しておくのが良いのだ.後で読むためではなく,誰かに読んでもらうためでもなく.
思考するから人間は動けるのだと思う.本を読む時間が幸いなのは,考える時間を持てるからだ.どんなに弛んだ生活をしていても,本の言葉の前に向き直れば,再び気は張れる.思考を重ねていればなおさら.どんなに些細で雑多な思考を残す生活を送っていても,本の中の一言に自分を動かす力が見つかる.だから,動く力を得るために読むのだと思う.どんな生活を送っていても,読めば考えるだろうから.
社会は勤労によって成り立っているのだから,それを軽視または無視する思想は些か問題だろう.勤労の本態は動くことだ.動くから働きになる.動くためには力が必要だが,栄養の他に力になるのが言葉なのだ.言葉は問題を解決できる.感情が抱えた問題,経験上の問題,不安や焦燥からくる問題など,あらゆる問題は言葉を使って解消できる.問題とは心の棘や痼りや疼きなど,不快な状態のことである.
思考がクリアになるまでアウトプットできれば,問題は解消したも同然.次の動きに移れる.もし力が出なかったら,読めば良い.本当の愛読書とは,いつも力の源となる本である.そのような本を複数持っている人は,人生でこの先も怖いものはないだろう.動けることが尊ばれる.これからもずっとそうである.どんどん書いて読んで動いていれば,人生の問題などいつの間に消えている.これは幸福に近い.
