文学が楽しい.2年くらい前に買い揃えた光文社の古典新訳文庫を読み始めた.今はジュールヴェルヌの地底旅行を読んでいる.その読書している時間が愛おしい.私はこの文庫群を老後の楽しみに取っておこうと考えていた.文庫は廃刊になることも多いので,確かに読みやすく素晴らしい訳であるこのシリーズを50冊以上買ったのだ.それを,今のうちから読もうと思い立った.その結果,とても楽しい時間を得ている.
人間にとって言語は本質的で,私の短い人生経験から言っても,物質と言語で大体の欲求が成り立っていて,世界はみ言葉でできているというほど,言語によって人間は変えられてきた.数学も音楽もプログラムも言語だが,文章も言語のひとつで,文章は普段使っている表現に近い親しみやすい言語だから,文学は私を耕し変えてくれるだろう.私は導かれたいのかもしれない.私を言語で肥やしたいのだろう.
私がこうして豊かな時間を得られるようになったのは,お金を持つようになったからだという面が大きい.もう欲しい物はほとんどなくなり,収入が毎月余るようになり,お金の心配で悩むことは全くなくなった.少しずつ余らせれば死ぬまでなんとかなる見通しも計算して得た.だから,今すべきことは人生を謳歌すること,楽しむこと,今まで買ってきた物を楽しむ時間に変えることだった.余生のフェーズだ.
面白い作品を知っている人になりたいという思いもある.というのは,老後確実にやることに,ウェブに文章を書いたり動画で話したりすることがあるからだ.私は感性を評価されることが多い.感性を持っているだけで教養があることになるのだろうか.とにかく,10代に磨いた感性が私の財産だと思うので,それを活かして老後を楽しもうと考えている.文学が私の感性と言語を結びつけ,豊かな実りを得られるだろう.
