お金を稼ごうという気になれない.それは幸せなことで,今の収入で極めて満足に暮らせているのだ.毎月余るお金である,お金を多く持ちたくないので,家族や団体にあげている.自分の口座に多くは残さずに,満足のいく使い道を探る中で編み出した黄金比である.つまり,お金を増やしたくないので収入を上げる努力をしない.働く意欲も減ってきた.職場で結果を残して認められようとする気持ちはすでに消えている.
生活は至って楽しいし幸せである.精神も安定し,平穏に過ぎる時間が九分九厘だ.やりたいこともいくつかあり,あまり積極的に追求してはいないが細く長く継続しており,人生がこのまま線形に進んでも充分満足できる一生だったと終えられるほどに確信がある.満足することは,もっともっとと欲するより,人生にとって善である.いくら祈り求め続けることが義務であっても,今を知り足るを知る方を私は選ぶ.
お金に囚われているとは思う.本当はお金から自由になる人生を送りたいとは思う.それは多くの資産を持つことで達せられると一般には言われる.誰でもおそらくお金から自由になるためにお金を多く持とうとしている.多く持てば働く量を減らせるし,投資で簡単に日銭を調達できる.お金が多い方が生活は楽になる.これは資本主義の真理である.しかし,多くを持つ者が心配から解放されるかといえばそうとも限らない.
多く持ってもお金から解放されないのだとすれば,どうすればお金から自由になれるのだろうか.物を少なく持つことはひとつの回答である.多くを欲しなければ,生活費が低く抑えられ,年金だけでも暮らせる.この適正量からくる自由は,私が最も憧れている生活様式であり続けている.いつか達したいと思いつつ,思想的にはその一員となっていると言えるくらい影響を受けており,今の満足もここに由来する面は大きい.
