18歳の頃から精神科に通院している.もう20年近くなる.症状が軽くはなかったのだと思う.高校生ながらとても無理していたと今は思う.今は1日1錠の服薬で済んでいて,今度の診療で減薬を判断され,来年は用量以下を試すべく主治医と相談している.20年の通院生活で学んだことは多くある.健康が回復したことの幸福を日々感じるようになったし,健康を常に意識した生活態度が嫌というほど身についた.早くして病んだ功績だ.
人生を最も決めるような時期をまるで台無しにしたので,普通に言われるような人生論は私には合わない.就活の時は体調が悪く,1日中実家で寝ている始末で,ほぼ何もできなかった.20代も総じて症状が酷く,結婚はできたがそれ以外で成せたことなど何もない.でも,その病と向き合っていた時期は無駄ではなくて,今思うと普通に成功してきた人とは異なる重要な視点を育てられたように思う.私と同じ世代では少数派だと思う.
同僚の先輩も上司も,牧師も地域で交流する先達も,私ほど健康に留意していないし,何か世の成功を求める概念が抜けないような人はいるし,合理的に生活設計して過ごしてはいない.何かそれぞれ固有の悩みに苛まれている感じだ.悩むのは私だけではないわけで皆が大なり小なりそうなのだが,私は悩みがほぼ解決し消え去って久しい.若くして病んで薬と共に耐え抜き,副作用で自由を奪われつつ,失った分,得たものは大きい.
誰でも苦しい時期は迎える.対峙しなくてはならない.それが早いか遅いか,何が苦しめるか,人それぞれ.私はそれを18歳で少し早く受け止め,20年間辛抱して向き合い,考え続けた結果,なんとか平穏に過ごせる中の自由な時間を手に入れた.これはある意味で立派な成功である.この世的な成功ではないのかもしれない.でも,この世で成功を得られなかった人でもその人の人生の成功を得た,その典型例が私だと思っている.
