30代前半は,富のために生きていた.私は正社員ではなかったし,最低賃金のアルバイトから契約社員になっても,長期雇用になる保証はなかったので,将来の経済的保障が何もなかった.お金が少ない人がそうであるように,自分の資産をいかに獲得するかに集中して頭脳を使ってきた.結果,2021年秋に米国株投資で1千万円の資産を達成し,何か糸が切れたように先がわからなくなり,自分には相応しくないと恐怖が募ってしまった.
30代後半の今,長期雇用になり,平均的な賃金が続く労働人生になった.昔ほど仕事にがつがつ取り組もうとは思わなくなったし,できない副業もやりたくない.投資で増やそうという考えもなくなり,インデックス積立で放置するという資産形成だけやって,株式投資分のお金は戻ってこなくていいものと当たり前のように捉えるようになった.今米国株を200万円ほど保有しているが,ゼロになる前提で資産形成を計画して考えている.
米国株の目標額は500万円くらいである.今の3倍だ.この目標額に達したら売却し,NISA積立に回そうと思っている.株式投資からできるだけ早く足を洗いたい.優良株とは,投信積立よりも,ただ増えるペースが早いだけのもので,早さや額の大きさを求めないなら,着実な投資先で充分だ,という考えにようやく辿り着いた.お金を持っても買いたいものないし使い先がなかった今までの長い悩み時間が勿体無かったと反省している.
米国株を500万円で止める,という決断は,大きな富を期待する射倖心を消すという点でも良い方に作用する.私は1千万円の資産を40代までに欲しいなどという気持ちはない.大きな富を持つと神に仕える気持ちを無くしてしまいそうだから.体力と頭脳を振り絞って働いて売買すれば,1千万円など数年で持てるだろう.でも,その時間を富のために使うことが虚しいと経験的に思う.自分の時間を富の欲に蝕まれたくない.
