最近思う,ひとつのことを長く続けられれば大抵のことはうまくいく.私は職人の道に入って2年ほどになる.また,教会に通い始めて4年になる.長く続けることで環境に慣れ,考えていた以上のことができるようになる.昔はその慣れをよく思わないできた.しかし,社畜ということばが肯定的に扱われているように,環境に長くいるとその組織にとって必要な存在になってきて,当人にも逃げる以外の選択肢が生じるのだ.
会社を辞める,職種を変える,そういう転機を設けることは,一般に勇気のいることだ.戻れない失敗も,割々した生活も待っている.それでもやりたいことがあるのでそうするわけだから,きっと人生は良くなっていく.やりたいことをできていない労働者がどのくらいいるか知らない.それでも組織で働く中でやりがいを見出してしまえば,その組織に居続けていけば人生を間違えることがないのだろう.
褒められるとできなくなる人がいる.きっと賞賛されることが動機だったのだろう.人の役に立ちたいという動機でも,感謝されると面白くなくなる人がいる.きっとその人々は,人の役に立つ自分を承認してほしかっただけである.しかし,いくら褒められても,いくら感謝されても,やめない人がいる.しばしば人に止められても,やめない人.その人の原動力は,承認欲求などという小さな欲ではない.
歴史に名前を残す,人類史上最も優れた人物になる,誰もわからなかった問題を解いて作る.誰もが考えたことのある妄想である.こういった夢を若い時に持ち,懸命に努力し,一定の業績を残せれば,妄想ではなく現実になる.誰かの役に立つことは確実であるがゆえに二の次である.自分で追求を続けること,先の見えない困難を突破し続けること.そういった自己目標を設定できてしまえれば,病床で人生に満足して逝けるはずである.
