難しさとは,わかりやすく説明する人の少なさに過ぎない,そう信じている節がある.真正に難しい問題は永遠に難しいわけはなく,解明され,解説されていくうちに,人口に膾炙しやすい表現に収まる.このことを特に思うのは,量子計算機の分野である.
量子計算機について勉強し始めた.2017年時点で参考書のない分野なのだ.大学に所属していないので論文を集めることもできず,どのように情報を集めていくか考えている.数理系の雑誌を3冊と文庫1冊を読んだが,分かったと思うことは稀で,説明なぞできる状況にはない.
考えるところはある.神が采を振る確率は零であるという論文を提げている自分にとって,量子計算は特別な人工環境を用意する前提であることは明らかである.そうでないと重ね合わないからだ.計算を一度に終える原理がまだ理解できない.量子の軌路を考えると理解しやすいことは分かるがそこで止まっている.
人工環境における自然の隠れた様子が明かされていくなかで,QCはその主道を行く.計算機で推観できたならなんでも実現できる.工学のこの明るい教義を,経済の発展に結びつけた時,私が生きているうちは社会は確実に面白い.今世紀の工学がもたらす新しい生活に巻き込まれてみたい.
